研究概要 |
温度感受性SV40T抗原遺伝子導入ラットに由来する合胞体栄養細胞株TR-TBTを用いて、血液-胎盤関門における胎児老廃物の輸送活性を調べた。その結果、TR-TBTには胎児副腎から産生されるDehydroepiandrosteron-3-sulfate(DHEA-S)のbasal側からの取込み活性があり、その活性は、organic anion transporter(OAT)の基質とorganic anion transporting polypeptide(OATP)の基質により抑制された。更に、TR-TBTには、DHEA-Sを基質とするoatp2,3,4ならびにOAT-K2が発現し、oatp2特異的阻害剤であるdigoxinによりDHEA-Sの取込みは部分的に抑制されたことから、胎児側からのDHEA-Sの取込みには、oatp2,3,4とOAT-K2が使われていることが、予想された。 次に、TR-TBTからのDHEA-Sならびにその代謝産物の排出を調べるために、P-glycoprotein特異的阻害剤とABCP特異的阻害剤を用いて、TR-TBTからのDHEA-Sの排出活性を調べた。その結果、これら阻害剤はそれぞれ排出活性を抑制したことから、血液-胎盤関門による胎盤からのDHEA-Sもしくはその代謝産物の排出には、P-glycoproteinならびにABCPが使われていることが、予想された。現在、より詳細な解析を行っている。
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