本年度は、昨年度から引き続き、うつ状態の女性を対象として認知療法による面接を実施した。そのうち、怒りのコントロールができないうつ状態の女性については、怒りに関する自動思考の検討・修正により怒りをコントロールできるようになり、またそれがうつ状態の改善にも効果的であった(日本カウンセリング学会第36回大会にて発表、2003年11月)。また、軽度のうつ状態の女性についても、自動思考の検討・修正、行動面への介入などがうつ状態の改善にいくらか効果的であった(聖路加看護大学紀要第30号)。 上記と平行して、Pub Med、CINAHL、PsycINFO、British Nursing Indexを用いて、「group」「depression」「cognitive therapy」をキーワードに1970年代まで遡って検索したところ、411件の文献が抽出された。これらのうち本研究の主旨に沿った文献を絞り込み、現在内容を検討中である。今後、上記の面接ならびに文献から、プログラム作成に必要な内容を抽出し、プログラムの土台を作る予定である。 さらに今年度は、国内で行われたいくつかの認知療法の実践に関する研修等に出席した。いずれも基本的な認知療法に関する理論・スキルを学ぶものであったが、これまでの面接の振り返りや新たなスキルを獲得する意味でも大変有意義なものであり、今後グループでの認知療法を実践する上でも参考となった。 次年度以降は実際に作成したプログラムを用い、うつ状態の女性を対象に数グループを実践し、その効果を評価していく予定である。
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