研究概要 |
本年度は,救急医療機関における小児事故防止教育の方法論を検討するために,一次・二次救急外来において行われている教育的支援の実情を明らかにすることを目的とした.24時間体制の小児救急医療を行う地域中核病院の救急外来に勤務する看護師9名を対象としたインタビュー,ならびに看護師3名を対象とした参加観察を行った. インタビュー内容を逐語録として,その内容を質的帰納的に分析した.分析結果の概要(「」はカテゴリー名)から,トリアージや診察介助時に「要指導者の焦点化」をはかり,「処置機会を利用した指導必要性の確認」を行いながら「処置機会を利用した指導」,「焦点化した指導」を実施していることが示された.また,「安全・円滑な治療」「症状・苦痛の緩和」,「帰宅後のセルフケア」,「帰宅後の安心」,「治療の継続」,「次回発症時の対処」を目指し,「薬物療法の管理」,「症状緩和方法」,「経過の見方と受診のタイミング」,「治療継続方法」などの内容が指導されていた.指導方法としては,「パンフレットの活用」,「デモンストレーション」,「口頭説明」などであった.救急外来における指導の困難性として,ほとんどが初診の「コンビニ的医療」であるため,患者や家族との「初対面の関係の浅さ」,「評価の不確かさ」などが示された. 多数の初診患者の看護を行う救急外来では,指導が必要な対象者を焦点化したうえで,帰宅後に安心してセルフケアが行え,治療を継続し,あるいは再発時の対処が行える事を目指して処置の機会などを活用してポイントを絞った指導がなされていることが明らかとなった. ここから,小児事故防止教育を救急医療の中で行うにあたって,問診やトリアージの時点で事故による受傷を把握し,パンフレットなどの活用によるポイントを絞った指導と,その後の学習機会につなげる「継続」のための,事故防止に関する情報源の提供などが可能であると考えられる.
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