研究概要 |
本研究では、インターネット上でメンタルマネジメント学習を支援するシステムの構築を進めてきた。まずコンテンツの基本構造を設計し、そこへ心理検査等のインタラクティブな機能を組み込んだ。 次に、構築したウェブコンテンツの一部である「自己分析」「ゴールセッティング」および「心理検査」について、それを10代の運動部員に利用してもらい、評価を行った。同時に紙媒体(paper & pencil:以下P&P)での心理検査も利用してもらい、コンピュータを用いた場合(computer assisted:以下CA)との比較を行った。その結果、「メンタルトレーニングの方法についての知識」「自分の長所・短所への気づき」「心理的課題や目標への意識」といった点において、P&PおよびCAいずれも学習前よりも学習後において自己評価が高く、プログラムの有用性を確認することができた。次に心理検査実施後に行ったP&PおよびCAの評価では、「検査の簡便性」「検査にかかる所要時間」「集計の煩雑さ」といった点において、CAの方がP&Pよりもポジティブな評価となった。この結果から、集計や結果のフィードバックに煩雑さが残ると指摘されてきた心理検査の活用については、本研究で構築したシステムが有効に働くことが示されたと言えよう。 他にも、e-mail,掲示板,学習履歴の組み込みなどを行った。これらの機能については、学習者一人ひとりへ細やかな個別対応する上で有効な機能であるが、人的資源の確保、また多方面の協力が不可欠である。本研究で構築したシステムをより有用なものにするためには、今後の公開運用において、より多くの利用者が集まり、また賛同者が集う、インターネット上の有機的関係の深まりが必要不可欠である。
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