研究概要 |
本科研費(平成14〜16年度)では,過去に取得した科研費(平成10・11年度)によって探求したテーマ,「土地利用変化に直接・間接的に関わるエージェントの意思決定から都市内部構造の変化を検討すること」を,「プロパティ・マネジメント」の視点からより深化させることを主目的とした。具体的には,主たる調査地として札幌とオーストラリア・メルボルンを選定し,投機的な意思決定者の役割や都市規模別の行動パターンの差異,また,老朽化したビルの更新地点にみられる多様な変化パターンに焦点を当てた。本科研費の研究費の大半は旅費として使用した。 研究の最終年度にあたる平成16年度はオーストラリアにおける調査を2回,プロパティ・マネジメントの先進事例の情報収集のために関西,群馬等にて国内調査を数回実施した。過去2年の収集データと合わせ,今年度は研究成果のとりまとめを並行して行なった。 本科研費によって得られた結果の概要は以下の通りである。札幌の都市成長を牽引したのは高度成長期以降に北海道に進出した東京本社企業のオフィス需要であったし,オーストラリアでは海外からの移民と彼らの母国企業等の投資が重要であった。いわば,札幌やオーストラリアの大都市のように100余年の歴史しかもたない比較的若い都市では,絶えず供給される「域外からの投資」がプロパティ・マネジメントの,ひいては都市発展の大きな原動力の1つになることが明らかになった。これらの成果は,研究発表欄〔雑誌論文〕に示す4編の論文として公表した。
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