研究概要 |
近年,e-Japan戦略による情報通信インフラ整備を重視した情報化が推進されており,それは確実に進んでいる現在においては,その情報化戦略がシフトする時期に来ていると言える。 今後の情報化戦略を考えると,サービスの質に重点を置き,ユーザー満足度の向上を成果と位置づける事が重要となるであろうが,同時に情報化の推進度評価の観点も変換すべきであろう。特に地域の情報化を考えた場合,従来のインフラ整備率から,住民満足度向上や情報化による家庭生活の豊かさ向上など,ミクロ的な観点による地域情報化の有効性を測る新たな指標が必要であると思われる。このような背景下では,市民と行政の協働による情報化推進は有益であろうと考えるが,市民一人一人の意見を聞き入れることは困難である。 そこで,各地域の成功事例のヒアリング調査を行った結果,NPOに代表される中間支援組織と行政における協働による地域情報化推進が住民の理解を得ることが容易となり,住民満足度が高くなる可能性を秘めているということが分かった。その理由として,NPOに代表される中間支援組織は,住民ニーズの集約場としての存在価値が高く,住民ニーズに対して即座に対応している現状があるということが確認できた。また,情報先進国でもありNPO先進国であるアメリカにおいても,NPOやその他の中間支援組織と行政の協働による行政サービスの提供の現場が多く存在しており,特に住民へのサービスの一環としてIT講習を行っているNPOは数多く,それによって住民の自立支援を行い,行政がそのNPOを支援する体制が整っている現状が確認できた。今回の調査で確認した事象を踏まえ統計的解析をはかる為にも量的調査を行う事を今後の課題とする。
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