研究概要 |
マサバ糠漬け「へしこ」は、近海で豊富にとれるマサバを塩漬け工程を経て、糠漬けにして発酵させることにより保存性を高めた、福井県若狭地方の郷土食である。約12ヶ月間と長い製造期間を短縮すること及び塩分含量の高い製品を低塩化することを目的に、糠と調味料の混合物をあらかじめ一定条件で発酵させた発酵調味糠を作成し、その発酵物をマサバと合わせ、さらに発酵させてへしこを製造する方法を検討した。 前年度までに、ペプチド量、脂質量、過酸化脂質量、ビタミンE量などの測定項目において、へしこ糠添加の有無,塩分濃度,発酵濃度に違いにより,発酵調味糠および糠漬け後のマサバの成分に違いが見られ、また,マサバの下処理方法は,食品用脱水シートを用いた方が,過酸化脂質の生成を抑えるという結果を得た。 本年度は、さらに過酸化脂質量とビタミンEの変化だけでなく、n-3系列多価不飽和脂肪酸の含有量の変化に着目した。すなわち、糠漬け後のマサバの脂肪酸分析条件として,ラベル化によるHPLC法の検討を行った。 また、おいしさとの関連を明らかにするため、最適な官能検査の条件について検討を行った。 これらにより、発酵調味糠により製造したへしこの脂質栄養の評価を総合的に行うことができるようになった。
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