研究概要 |
昨年は主に市販スターターを用いて、胞子の耐熱性効果を検討した。それをもとに本年度は実際に納豆を製造した時のヒートショック状況と納豆菌胞子の種菌(スターター)化を試みた。 大豆はフジキャビアイエローを使用し、蒸煮した大豆に、納豆菌を10^n/mlを納豆100g当たり0.1ml接種し、鈴与工業製SY-NO/20自動納豆製造装置(製造プログラムA)を用いて納豆を製造した。さらに納豆製造中の納豆菌の発芽状態と発酵状況得るために酸素電極による酸素濃度と、温度センサーによる温度変化を測定した。 70℃,5分間、70℃,10分間、100℃,5分間、100℃,10分間で加熱した時の胞子を用い、ヒートショック後の納豆菌の納豆製造におけるヒートショック効果をみたところ、期待したほどの発芽促進効果はみられなかった。納豆発酵過程における容器内酸素濃度の影響はヒートショックをしない方が酸素吸収が多く、100℃でヒートショックを行った場合は、酸素吸収が少なかった。ヒートショックを行い発芽が良くなれば、少量の菌液でもヒートショックを行っていない菌液と同様の酸素濃度が見られると考えられたが、酸素濃度は菌液中の生菌数に比例しているように思われた。容器内温度も菌の生育に応じて変化していた。官能検査の結果、KFP419では100℃,5分間の菌液で糸引きが良かったが、熱処理をしていないものとの有意差は見られなかった。しかし、KFP1では70℃,10分間と100℃,5分間で糸引きが良くなりその差が見られた。ヒートショックの効果は糸引きに影響が見られると思われた。 種菌化方法は、NBP培地に胞子を生産に不可欠と思われる微量物質を添加し検討した。胞子の割合は遊離胞子数/(有胞子細胞数+栄養細胞数)×100で求めた。100%スタータ化することは困難で、添加する物質により胞子割合は55〜80%であった。培養温度は添加する物質により異なったが、37℃と40℃では40℃の方が適していた。
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