研究課題/領域番号 |
14780153
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教科教育
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研究機関 | 龍谷大学 (2003-2004) 関西外国語大学 (2002) |
研究代表者 |
松村 省一 龍谷大学, 国際文化学部, 助教授 (90331131)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 第2言語習得 / 語用論 / アドバイス / 留学 / 共分散構造方程式モデル / 中間言語 / 日本人英語学習者 / 第2言語習得理論 |
研究概要 |
本研究では、様々な社会的地位にある人々に適切な表現(丁寧表現)を用いて英語で「アドバイス」を与えるという語用力に焦点を絞り、その習得過程と英語学習環境との関連性について考察した。カナダあるいはアメリカに1年間留学する日本人大学生約150人(実験群)と、留学せずに日本の大学で英語を学習し続ける学生約150人(対照群)を被験者とすることで、留学の影響をより明確にすることを試みた。 平成16年度は、平成15年度に収集し残した対照群からのデータ収集(主にインタビューによる聞き取り調査)、また、英語のネイティブスピーカーからのデータ収集(アンケート調査、およびインタビューによる聞き取り調査)を行った。 実験群、対照群から集めたデータを共分散方程式モデルを使って比較分析したところ、さまざまな点が明らかになったが、ここでは主な2点について簡単に述べる。第1点は、留学前に英語にさらされる量が、留学後の語用力の伸びに最も影響を及ぼす要因のひとつだという点である。留学に過度に頼り、留学により英語力が伸びると思い込み、留学前の努力を怠った学生においては、語用力の伸びは見られなかったということである。第2点は、さらされている英語の質、すなわち学生がどのような形で英語に触れてきたか(たとえば、授業、テレビドラマ、友達との会話)が、語用力の幅に影響を与えている点である。つまり、留学前に外国人教員と英語で接していた学生は、留学後も目上の者に対して適切な表現を用いてアドバイスを与えることができるものの、クラスメイトのような社会的地位が同等の者に対しては、適切な表現を用いてアドバイスを与えることができなかったということが明らかになった。以上のことを考え合わせると、留学が語用力習得に与える効果は、学習者が留学前にどれだけ英語に触れ、また語用に注意を払っているかに影響されるようである。したがって、留学前の段階で明示的に語用について教えることは、留学を控えた学生に有益だと言えそうである。尚、結果の詳細については、Language Learning,51(4)および、Applied Linguistics,24(4)に報告しているので参照されたい。 最後に、今後の研究課題として、第1に、ほぼ同じ量で質的にも類似した英語に触れながら、語用力に個人差がでるのはなぜか、第2に、語用力の評価を標準化し、テストを作ることは可能か、また、その方法と手順はどうあるべきか、という2点を考察する必要があると思われる。
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