研究概要 |
本研究では韓国の日常生活に使われている被動文について形態別に分類を行い,各形態がどの程度の割合で使われているかについて分析を行った。研究方法としては韓国語母語話者2名の研究協力を得て,韓国で放送されたテレビドラマ4本を選び,会話資料を文字化資料に変換し,その中でどのような被動文がどの程度の頻度で使われていたかについて分析を行った。また,現在,韓国で日本語を学んでいる韓国人日本語学習者(釜山大学校日語日文学科4年生)を対象に自由作文を行い,その作文を分析し,テレビドラマの分析結果と比較を行った。 分析の結果,韓国語の中で最も頻繁に使われた被動文は「〓〓〓〓」の接辞が接続された形態であり,その中でも特に接辞「〓」が最も頻繁に使われていた。接辞被動文は韓国語の被動文の使い方を把握する上で重要な形態であると言える。しかし,接辞によって作られた被動文は接辞「〓〓〓〓」が接続して作られた自動詞文と同形態であり,韓国語母語話者は両構文をほとんど区別できないため,韓国人日本語学習者の作文の中には韓国語の自動詞構文を被動文と混同し,韓国語をそのまま日本語に訳した文が多く見られた。 そこで,本研究では被動文の動作主と被動作主の存在有無,両者の関係などによって,日本語の受身文と韓国語の被動文を有情物直接被動文,非情物直接被動文,所有物間接被動文,非所有物間接被動文の4タイプに分類した。この分類に従って実際に韓国で使われている被動文と自動詞文の実例を区別する基準を設けて,韓国釜山大学校日語日文学科の学生に講義を行った。その結果,日本語の受身文の既習者は受身文の構文的特徴が非常に明瞭になり,2回目の作文には誤用が非常に少なくなった。 なお,釜山大学校日語日文学科4年生の学生には本調査の分析のために作文を協力してもらい,作文の内容等のすべての資料について研究発表を行う際に用いることについて了解を得ている。
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