研究概要 |
本研究は,都市空間などの膨大な3次元幾何データの効率的な再構成手法の検討を目的としている. 本年度の研究では,昨年度行った3次元幾何データデータベースに含まれる3次元幾何モデルの検索手法について,3次元幾何モデルの検索能力向上のための基礎的な検討を行った.昨年度の研究成果では,3次元幾何モデルをひとつの物体として,3次元幾何モデルどうしの類似度を計算し,検索を行う手法を提案した.しかし,この手法では,幾何学的変形に対して頑健であるという特徴があるが,3次元幾何モデルの部分的な欠落に対しては,類似度が低下してしまい,3次元幾何モデルの検索能力が低下してしまうという問題があった.本年度の研究では,このような3次元幾何モデルの部分的なデータの欠落に対しても頑健な手法の基礎的な検討として,3次元幾何モデルを特徴的な部分形状に分割する手法について検討を行った.具体的には,入力点群において幾何学的に近接する部分点群に対し、点群の平面性、凹凸性、周辺点群との特徴類似性をもとに、入力3次元幾何モデルの分割を行う手法を提案した.提案手法では、与えた分割数に基づき、幾何学的特長を反映した領域分割が行えた.しかし,機能あるいは意味を持つ部分領域に分割されているかどうかについては,評価が非常に困難であり,今後も検討を続けて行く予定である. また,天候や周囲の環境によって,屋外で撮影した画像に生じる陰影やハイライトを除去する手法の基礎検討も行った.3次元幾何モデル再構成における画像からのテクスチャ生成においては,入力画像が周囲の照明条件の変化に対して受ける影響を極力抑える必要がある.提案手法は,光の反射を考慮した色モデルから,陰影の影響を受けないカラーモデルについて検討を行った.
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