研究概要 |
本研究の目的である知識共有支援型ワークフローシステムを実現するために,平成16年度は蓄積ノウハウ及び業務履歴を元にフロー定義を改善する機構の設計・実現と評価実験を行った. 本研究の方法によるワークフローシステムでは,ユーザが処理中の業務内容に関連する知識をノウハウデータベースから自動的に抽出し,ユーザに対話的に提示を行う.しかしながら,現実の業務では予め想定が困難な業務の委譲や差戻し等の例外処理が極めて多く,これにより業務の効率が低下することが問題となっていた. 本研究では,例外が作業に及ぼす影響度に着目し,その値により最適な例外対処法の提供を行う方式の確立を行った.具体的には例外の原因を物・時・人の3種類に分類し,それぞれの場合の例外影響度を算出する.この値により一時的対処で例外を解決するか,またはボトルネックとなるフロー定義の個所を示し,その定義について再考を行うかの判断をシステムが行う手法である. また,本方式に基づく試作システムの実装を行い,実験環境において実際の業務に用いる実験を行った結果,フロー定義の中で影響の大きい問題箇所を割り出して通知できることが確認された.一方,各作業者側でも例外の対処を行う時間が大幅に削減されており,本方式によって業務効率の大きな向上が期待できる. 以上の研究成果を,本研究に関連のある学会で発表した.
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