研究概要 |
本研究では,人間の感性にはたらきかける情報(感性情報)として音楽を考え,人間に「やすらぎ」を与えるサウンドを計算機で自動的に生成するシステムを開発することを目的としている.生体の生理活動に伴い発生する信号(心電,脈波,脳波など)にはカオス的な特徴が存在することが知られている.本研究では,生体から抽出したカオス特徴量に基づいた,癒しを目的としたバイオフィードバックの枠組みを提案する.本年度の研究では,昨年度までに行った研究結果を精査しつつ,試作された個々のモジュールを統合し,以下の研究項目を実施することにより「やすらぎ音楽生成システム」を完成し,本研究課題を結実させた. 1)個人生体信号への同調 昨年度着手したバイオフィードバックの試作アルゴリズムを改良し,本システムによる音楽傾聴者のリラクゼーション効果をより高めるためのサウンド生成・変更アルゴリズムを提案した.昨年度は傾聴者の脳波のα波成分に着目しフィードバックの処理手続きを考案したが,本年度はこれに加えて心拍変動を測定しフィードバックするシステムを考案し実装した. 2)音楽理論に基づくアレンジ処理 個人生体信号の個性を損なわない範囲内で,音高や音長を補正するリハーモナイズ処理を提案し,従来手法で生成した音楽のサウンド系列から音楽的に不適切なサウンドの組合せを除去した. 3)ネットワーク配信型サウンド生成システムの構築 14年度から現在までに考案・実現した試作プログラムを統合し,「やすらぎ音楽生成システム」のシステム化を行った.
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