研究課題/領域番号 |
14780310
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
知能情報学
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
西田 鶴代 岐阜工業高等専門学校, 助手 (40342597)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 動的音事象 / 知覚 / 分離 / グループ化 / 2つの音事象 / 動き方向知覚 / 動き知覚 / 事象間のonset時間差 / 音事象の特徴分離 |
研究概要 |
聴覚における空間認知については、動きを伴わない1個の音源の定位などの検討が多く報告されてきた。しかし、動的音事象を対象とした研究は、静的音事象に比べると比較的少なく、検討すべきことも多くある。音事象数のみならず、事象が動的である場合、私たちをとりまく音環境は複雑となる。複雑であるにも関わらず、この中から人間は必要な情報のみを抽出し概況を把握している。聴覚による環境認知は、非常に重要な役割を果たしているのである。この認知過程を解明することで、人間の基本的な聴知覚システムと聴覚の情報処理過程の提案が期待される。 そこで、最初のステップとして、動き知覚を伴う2つの音事象を扱った。動き知覚を伴う2つの音事象は、時間的、音色的、空間的に分離して提示したときの、指定された音事象(ターゲット音:T音)に対する動きや動き方向の知覚について、非ターゲット音(Non-Target:NT)が与える影響について検討した。動きを伴う音事象は、仮現運動と合成音像を用いた。提示方法間での音像の動きや動き方向の知覚に有意差はない。いずれの場合でも、音事象が2つ提示されるとT音の動きや動き方向の知覚は、1つ提示されるときよりも正答率が低下(15%)する。2つの音事象は、音色的、空間的、時間的(onsetに時間差を与えた20ms以上)に分離して提示され、被験者は、それらを分離して知覚しているにも関わらず、T音の正答率が上昇する傾向は見られなかった。音事象が「動」か「静」かを判断する動き知覚の正答率は、単純なものであるにも関わらず、T音とNT音の組み合わせ、さらに2つの音事象のonsetに時間差によって異なった。NT音がT音の動き方向の知覚だけでなく「静」か「動」かの単純な知覚にまで影響を与えていることが示唆される。 これらのことから、2つの音事象が、空間的、時間的、音色的に分離がされ、それぞれを知覚的に区別することが可能であったとしても、音事象が1つの場合と異なり、動きと動き方向の正確な知覚は難しいことが分かった。さらに、2つの音事象の属性は正確に知覚できるが、音の動きと動き方向の知覚は難しいことから、これら2つの知覚は、異なる家庭で処理され、最後に統合されることで、音事象に対する統合的知覚が起きている可能性が高い。さらなる検討が必要であることが分かった。
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