研究概要 |
人間の動作にとって,バランスの制御はもっとも基本的な働きのひとつである。それゆえ人間のバランス制御については,従来から様々な解析やモデル化がなされてきている。バランス制には,フィードフォワードによるものとフィードバックによるものがある。前者によるものの多くはオフラインシステムであり,入力された不安定な動作を安定なものに変換するというものである。一方,後者によるリアルタイム制御では,弱い外乱に対してしか有効に制御を行なうことができない。また,人間にみられる腕を振り回したりしてバランスをとるといった動作は,これまでフィードフォワードであらかじめ指令を与えておかなければならなかった。本研究では,あらかじめ動作の指示を与えなくても外乱に対する最適なバランス制御動作を生成するフィードバックシステムを構築した。本システムは,二次計画法による動的バランス制御とPD制御による姿勢の制御という2つの制御を組み合わせて用いる。このモデルに大きな外乱を与えた場合,腕を振り回したり腰を折り曲げたりという人間の動作によく似た動作が最適な制御として得る事できることがわかった。
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