研究概要 |
前年度において,1/fゆらぎをもつ画像のスペクトルをフーリエ変換を用いて抽出し,ペイント等のソフトウェアで適当に色を着けた原画像に埋め込むための基本アルゴリズムを開発した.そのアルゴリズムを応用して,1/fゆらぎを持つ波形として音声データ(クラシック音楽や小川のせせらぎ等)や脳波データを原画像に埋め込む手法を開発した.更に,カオスはそれ自身が1/fゆらぎを持っている場合もあるので,カオスを用いた画像生成手法も開発した. アンケートに頼らない感性評価の定量化の試みとして,生成されたデザイン画像に対して感性スペクトル解析装置を用いた脳波解析を行った.本装置では脳波データより,「怒り/ストレス」「喜び」「悲しみ」「リラックス」の4つの感性要素を推定することが可能である.はじめに8つの音声データを聞かせたときと,それらを使って生成した8枚の画像を見せたときの4つの感性の相関が高いことを確認した.このことは音声データを聞いた感性が,生成画像を見たときの感性にうまく埋め込まれていることを意味する.次に「リラックス」の要素に着目し,原画像を見たとき,音声データを聞かせたとき,生成デザイン画像を見せたときのリラックス値をそれぞれ計測した.原画像を見たときでは低く,音声データを聞かせたときは高かったリラックス値が,生成画像を見せたときは高かったことより,音声データを聞いて感じた「リラックス」が,生成画像を見ても同様に感じることを示している.従って,本アルゴリズムを用いることにより,アンケートに依存することなく人をリラックスさせるデザインが生成可能となる.
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