研究概要 |
「バーチャル・スタイリスト」システム構築に必要である服飾配色支援システムにおいて,これまで採用してきた対話型遺伝的アルゴリズム(IGA)を用いた配色イメージ判定の更なる改良を行った.昨年度に提案したダイレクト・マニピュレーション(DM)による遺伝子の直接操作は,システムがユーザの主観に迅速に適応可能であるという意味では良好な結果が得られたが,ユーザの評価に関する負担が増加するという問題があった.そこで本年度は,個体の相互評価による進化計算処理の高速化およびユーザの負担の軽減を行った.これまでの個体の評価方法では,1個体が提示する5個の配色をユーザが評価し,これら5個の配色の評価平均が個体の評価となっていた.このため,ある個体が提示した配色に対するユーザの評価は,他の個体の評価に全く影響を与えないため,ユーザはそれぞれの個体に対して複数の配色を評価する必要があった.しかし,提案手法では,各個体は自らが提示した配色以外の配色に対するユーザの評価も各個体の評価として利用することが可能であるため,1個体あたりの提示配色数を大幅に低減することが可能となった.これにより,1世代においてユーザが評価する配色数が削減され,ユーザの負担を軽減することができた. また,配色支援を行う上で重要となる色彩調和判定システムにおいて,オストワルトの色彩調和論の知識に基づいたファジィ推論による配色調和判定手法を提案した.昨年度までに提案した松田の調和論に基づいた配色調和判定と提案手法を比較するために,Webを用いた配色調和アンケートシステムを構築し,提案手法の有効性について検証した.
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