研究課題/領域番号 |
14780426
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 信州大学 (2003) 愛媛大学 (2002) |
研究代表者 |
國頭 恭 信州大学, 理学部, 助教授 (90304659)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ヒ素 / 海鳥 / グリシンベタイン / アルセノベタイン / クロアシアホウドリ |
研究概要 |
クロアシアホウドリにおけるヒ素の体内分布と化学形態を調査した。肺、筋肉、腎臓、肝臓、脾臓、すい臓は高いヒ素濃度を示し、特に筋肉は体内ヒ素負荷量の約80%を占めた。一般に海棲哺乳類などの海棲高等動物は肝臓と皮下脂肪のヒ素濃度が高く、魚類などの低次動物は筋肉にヒ素を高濃度に蓄積することが知られている。そのため、クロアシアホウドリ体内のヒ素分布の特徴は、海棲高等動物より海棲低次動物に似通っていることが判明した。各組織におけるヒ素の化学形態分析の結果、いずれの組織でもアルセノベタインが主要なヒ素化合物であり、81から99%を占めた。興味深いことに、トリメチルアルシンオキサイドは胃内容物から検出されなかったが、腸内容物と組織中で検出された。このため、腸内細菌により餌中に含まれていたジメチルアルシン酸がメチル化、あるいはアルセノベタインが分解され、トリメチルアルシンオキサイドが生成し体内に取り込まれることで、組織中に蓄積したことが予想された。 クロアシアホウドリのヒ素高蓄積機構を解明するため、肝臓中におけるヒ素の細胞内分布と、アルセノベタインと浸透圧調節物質であるグリシンベタインの量的関係を調査した。ヒ素の細胞内分布と濃度の間には有意な関係は認められなかったが、アルセノベタイン((CH_3)_3As+CH_2COO-)とグリシンベタイン((CH_3)_3N+CH_2COO-)の濃度間には有意な負の相関が認められた。このためクロアシアホウドリは、グリシンベタインと構造が類似しているアルセノベタインを浸透圧調節物質として取り込んでいることが予想された。以前より海棲動物は陸上動物よりヒ素濃度が高いことが知られていたが、本研究より、この現象は、海棲動物がアルセノベタインを浸透圧調節物質として蓄積していることによるものと推察される。
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