研究課題/領域番号 |
14780429
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
定金 香里 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助手 (20322381)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ディーゼル排気微粒子(DEP) / アトピー性皮膚炎 / NC / Ngaマウス / IgE / ディーゼル排気粒子(DEP) / ダニ抗原 / IFN-γ |
研究概要 |
アトピー性皮膚炎(AD)は、近年、患者数の増加と難治化が社会問題となっているが、環境の悪化がその原因の一つと考えられている。本研究は、ディーゼル排気微粒子(DEP)がADの病態を増悪するか否かを調べることを目的とする。 H15年度は、大気中のDEPが皮膚に付着した状況を想定し実験を行った。AD発症モデルNC/Ngaマウスの耳介に塩化ピクリルを週に1回、計9回、塗布しADを誘発した。またDEPエタノール・アセトン(1:3)抽出物を耳介に2mg、塩化ピクリル塗布の3時間前に塗布した。57日目にマウスを屠殺した。尚、昨年度の実験で、ダニ抗原点鼻によるAD誘発がみられなかったため、本実験では塩化ピクリルのみを用いてADを誘発した。 塩化ピクリル単独塗布では、実験開始後7日目から耳介に症状が出現し、10日目に1回目の重症度のピークが見られた。その後、増悪と寛解を繰り返しながら徐々に悪化した。一方、DEP抽出物と塩化ピクリルを塗布したマウスでは、6日目から症状が出現し、7日目と9日目に急激に重症度が高くなり、20日目まで塩化ピクリル単独塗布よりも症状が重かった。30日目以降からは、両群ともほぼ同様の病態推移を示した。DEP抽出物を単独で塗布しても症状は見られなかった。総IgE抗体産生は、塩化ピクリル単独塗布群、塩化ピクリル・DEP抽出物併用塗布群ともに14日目に緩やかに増加したが、28日目では併用塗布群の総IgE産生量が塩化ピクリル単独塗布群の1.7倍だった。42日目、55日目の産生量は2群ともほぼ同じだった。 以上の結果をまとめると、DEP抽出物の塗布により(1)ADの初期症状が増悪された(2)発症が早まった(3)総IgE抗体産生の増加が早まった。今回の実験結果は、ディーゼル車から排出されるガスが皮膚に接触すると、発症直後の軽微なAD症状が悪化する可能性を示唆している。
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