研究概要 |
1.製品ライフサイクル管理のためのビジネスモデルに関するケーススタディ 製品提供形態の相違による環境負荷の違いを把握するため,ケーステディとして蛍光管を対象とした.また,製品の提供形態の違いとして3つのケースを想定した.すなわち,(A)売り切りで使用後は廃棄してしまうモデル,(B)売り切りで使用後にリサイクルをするモデル,(C)明かりという機能を提供するいわゆる機能提供型ビジネスを想定した.これは製品を機能提供者が一元管理し,100%回収するモデルである.(B)と(C)の相違点は,(C)の方がリサイクル率が高いこと,帰り便の利用により収集運搬のエネルギーを抑えられることである.LCAにより3つのビジネスモデルを比較した結果,(C)のモデルは,(A)と比較して蛍光管1本当たり2,5kg-CO2,(B)との比較では0.26kg-CO2のCO2排出量の削減が見込まれることがわかった. 2.家庭用エネルギー関連設備の購買選択行動におけるコスト・環境性能の影響把握 従来型のコンジョイント分析では,被験者にプロファイル(仮想的商品)の選好順に番号を付けてもらう方法を採用することが多い(仮想ラインキング).しかし,この方法では選好順位が低くなるほど回答が困難になり,被験者の負担となる.一方「選択型コンジョイント分析」では,2〜4つのプロファイルの中からもっとも好ましい1つだけ選択してもらう方法を採るため,被験者への負担が少ない.また,限界支払意志額や需要関数を計測出来るため,汎用性が高い.そこで,本研究では,家庭用エネルギー関連設備を対象品目として選択型コンジョイント分析の適用を行い,購買選択行動におけるコスト・環境性能の影響を明らかにした. 調査対象を,北九州市立大学学生及び研究会会員とし,調査方法は学生に対しては直接配布,研究会会員に対してはメール配信・回収とした.その結果,34部配布で25部回収,73.5%の回収率を得た. 多項ロジットモデルによって推定された結果をもとに,運転費,リサイクル,CO2削減,メンテナンスフリーに対する限界支払意思額を算出した.これにより,リサイクル率1%の増加のためには7,963円の金銭的代償を求めること,逆にメンテナンスフリーのために12,550円の負担ならば受け入れる意志があるなどの結果が得られた.
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