研究概要 |
アゾール系抗真菌剤の活性増強物質として発見した新規化合物actofuniconeおよびその類縁化合物deoxyfunicone、vermistatin、NG-012の作用メカニズムの解析を目的に、以下の検討を行った。また前年度までの知見により、薬剤排出機構が新たな薬剤標的となることが明らかとなって来たことから、薬剤排出機構を標的とするスクリーニングを実施した。 1.二次元電気泳動法を用いた作用部位の解明 前年度までの病原真菌C.albicansを使用したプロテオーム解析により、deoxyfunicone処理の場合のみに変動するタンパク質を銀染色レベルで20種類見い出した。今年度はこれらタンパク質の同定のため、CBB染色での検出可能レベルまでタンパク質量を増加し、タンパク質の同定を試みた。その結果、CBB染色レベルでの検出が可能となったタンパク質は20種類のうち4種であった(スポット1,2,3および4)。このうちスポット1および2について、アミノ酸シークエンス解析を実施したが、N末端が修飾されている可能性により、同定までには至らなかった。現在MALDI-TOF Massを使用しての同定を試みている。 2.S.cerevisiae変異株を用いた標的分子の解析 変異株ライブラリーの作成は終了した。来年度はこれらライブラリーからのdeoxyfunicone耐性株の選択を実施する。 3.薬剤排出を標的するスクリーニング系の構築 前年度、宮川都吉博士(広島大)より分与されたpdr5欠損酵母を利用した化合物評価を実施した結果、beauvericinおよび4種類の新規beauvericin類縁化合物を発見した。
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