研究概要 |
DNA相同組換えは減数分裂期やDNA修復,進化にも関係する重要な生命現象である.本研究ではDNA相同組換えの開始反応に重要な働きをする蛋白質Mre11に特に注目してきた.14年度はMre11を大量調製し,その構造ドメインの解析を行った.さらに,その結果から得られた,減数分裂に重要な役割を果たすMre11のc末端ドメイン(Mre11C)を調製し,そのNMRスペクトル測定を行った. 平成15年度はMre11と相互作用する生体高分子の解析を行った.まず,Mre11Cの^<15>N^1H-HSQCスペクトルを用いて,Mre11とDNAとの相互作用について解析した.Mre11Cに単鎖DNA,二本鎖DNAを加えてそれぞれHSQCスペクトルを測定して解析したところ,Mre11Cは二本鎖DNAに優位に結合することが明らかになった.これまで,Mre11はC末端領域で単鎖DNA,二本鎖DNAに共に結合することが報告されていたが,今回の結果よりその優位性が明らかになった.次に減数分裂期にMre11と共に働いている蛋白質Rec104について,Mre11との相互作用の有無を解析した.Rec104はその大量調製が困難であったため,Rec104を可逆に結合させた樹脂を用いたカラムクロマトグラフィーを行った.Rec104を結合させたカラムにコントロールとしてBSAを注入したところ,BSAは結合せずに素通りした.次にMre11Cを注入したところ,Mre11Cはカラムに結合しRec104と共に溶出した.この結果からRec104がMre11と直接相互作用し,その相互作用部位がMre11のC末端領域であることが初めて明らかになった.
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