研究課題/領域番号 |
14780514
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
TAME J.R.H. 横浜市立大学, 総合理学研究科, 教授 (00336588)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 蛋白質 / X線結晶構造解析 / 生物物理 / 金属タンパク質 / DNA結合 |
研究概要 |
鉄元素は生物にとって欠くことのできない成分であるが、鉄(III)イオンは生理的pH条件ではほとんど水に溶けない。そこでバクテリアは、周囲の環境から鉄を吸収するための精巧なシステムを細胞内に発達させている。多くの病原性バクテリアは、鉄イオンの有無を毒素生産の制御スイッチとして使っている。また、大腸菌の内部では、鉄イオン取り込み調節タンパク質(ferric Iron Uptake Regulator, Fur)が、30以上もの遺伝子発現を制御している。鉄イオン存在条件下で、このタンパク質は特定のDNA配列に結合し、その下流の遺伝子発現を抑制することが知られている。Fur相同タンパク質は、結核菌や淋菌をはじめとした多くのグラム陽性菌、陰性菌も持っていることがわかっている。Fur相同タンパク質の立体構造に関する報告はほとんど無い。Furタンパクは、病原菌の毒素発現システムと、鉄イオン吸収システムの両方で、中心的な役割を果たしているが、哺乳類には類似タンパク質は存在しない。だから、Furタンパクは、薬剤設計の標的として適していると言える。 今回、Furに類似したNikAと呼ばれる蛋白質の結晶構造解析に成功した。NikAはABCトランスポーターファミリーでニッケルイオン結合蛋白質として働いている。バクテリアのペリプラズム層で、ニッケルイオンの初期結合蛋白質および受け渡し役を担っていて、バクテリアの金属イオン濃度による走化性反応を引き起こしている。NikAの高分解能立体構造を、ニッケルイオンのあり、なしの両方の条件で決定したところ、他のペリプラズム層蛋白質と同様の蛋白質全体の構造変化が確認された。しかし、ニッケルイオンと蛋白質の直接の結合が存在しないなど、今までに見つかっている蛋白質には見られない特徴があった。NikAは、ニッケルイオンにのみ結合能力を持っている。
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