研究概要 |
マウス生殖細胞の決定やその特性を担う分子を得る目的で、サブトラクションcDNAスクリーニングにより胚盤胞の内部細胞塊には発現せず、胎齢8.5-9.5日胚の移動期の始原生殖細胞(PGCs)に特異的に発現する遺伝子群の単離を行った。その候補遺伝子断片のうち、共にヒトinterferon induced transmembrane protein (Ifitm) familyに高い相同性を示すクローン、#B97R及び#B47-2を、それぞれmil(mouse Ifitm like gene)-1及び-2と名付け、生殖細胞の形成過程における発現細胞の同定を試みた。その結果、mil-1及びmil-2は、原腸陥入を開始したマウス胚において、これまで明らかにされていなかった生殖細胞の前駆細胞で共にその発現が認められ、またその前駆細胞集団は、細胞塊を形成している事が明らかとなった。その後、その細胞塊の中から、アルカリフォスファターゼ活性の強陽性細胞として初めてその出現が観察されるPGCsにおいては、mil-1の発現は認められたが、mil-2の発現は認められなかった。mil-1の発現は、後腸、腸間膜を移動するPGCsにおいても引き続き発現が観察され、その後、生殖巣に到達したPGCsでもその発現は認められた。一方、mil-2のPGCsにおける発現は、生殖隆起に向かって腸間膜を移動するPGCsにおいて再びその発現の上昇が認められ、生殖巣に到達したPGCsでも引き続きその発現が観察された。現在、mil-1,mil-2の生殖細胞の形成、分化過程における役割について考察を進めている。
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