研究課題/領域番号 |
14780575
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 東京大学 (2003) 特殊法人理化学研究所 (2002) |
研究代表者 |
宮坂 知宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90342857)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / 神経原線維変化 / タウ / 凝集 / リン酸化 / Bouin / 原子間力顕微鏡 / 神経細胞死 / PHF |
研究概要 |
はじめに、タウの線維形成過程についてin vitroの解析をおこない、凝集剤共存下においてタウ線維形成がおこることを確認した。つづいて、時系列に沿ってその構造変化について検討したところ、不定形なoligomer形成、顆粒状凝集物形成、線維形成が順に起こっていることが示された。また、分離した顆粒状構造物から直接線維形成がおこることを示した。さらに、連続的な原子間力顕微鏡観察の結果、アルツハイマー脳由来のPHF同様、顆粒状に分裂していく様子が観察された。以上より、タウの線維形成はまず不定形のoligomerが形成され、それが核となり顆粒状凝集物が形成され、その顆粒状凝集物が連結することによって線維化すると考えられた。 一方、Bouin固定法を改変することにより、これまで困難であった、生理的に存在するリン酸化タウを高感度に検出する方法を構築した。これにより、タウ正常状態でのリン酸化、あるいは凝集以前の異常リン酸化を組織化学的に検出することが可能になった。この方法を用い、胎児マウス、絶食マウス、アミロイド前駆体発現マウスなどの脳における、リン酸化タウの組織学的解析おこなった。その結果、いずれのマウス脳においてもリン酸化タウは軸索成分中に強く認められ、細胞体、樹状突起には認められなかった。この結果から、1,脳神経細胞中において、リン酸化タウは主に軸索中に認められること、2,急激な異常リン酸化は軸索中におけるタウのリン酸化を亢進させるものの、細胞体への異常蓄積は起こさないことが明らかとなった。この結果は神経線維変化の形成には単純な異常リン酸化だけではなく、さらに別の因子が必要であることを意味している。
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