研究課題/領域番号 |
14780604
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田畑 秀典 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80301761)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 神経発生 / 細胞移動 / リーラー / 大脳皮質 / 層形成 |
研究概要 |
ほ乳類の大脳皮質神経細胞は発生過程において脳室帯で誕生し、中間帯、皮質板を経て脳の最表層まで達し、整然と配置されて6層からなる大脳皮質を形成する。大脳皮質神経細胞の移動様式として、ロコモーションと細胞体トランスロケーションが知られていた。これらの移動様式をとる細胞は放射状方向に向いた双極性の細胞として観察される。しかし、脳の発生過程においては、はっきりした極性を持たない多極性細胞が豊富に存在していることが組織学的な観察から知られており、この細胞群の性格付けが必要となっていた。本研究課題では、この多極性細胞が神経細胞移動において、どのような位置を占めるのかを明らかにした。子宮内電気穿孔法を用い、GFP発現ベクターを導入することで移動神経細胞を可視化し、その形態を詳細に観察した。またこれらを、共焦点レーザー顕微鏡を用いてtime-lapse観察した。その結果、多極性細胞は複数の細い突起を色々な方向に伸ばしており、この突起を活発に伸縮させながら、ゆっくりと移動していた(速度=約2μm/hr)。同じ方法でロコモーション細胞を観察すると、これらの細胞は直線的に速い速度(約10μm/hr)で移動しており、多極性細胞の移動とは明らかに異なっていた。我々はこの移動様式を多極性移動と呼ぶことにした。以上のことから、大脳皮質の形成過程には、ロコモーション、細胞体トランスロケーション、多極性移動が関与することが示されたが、これらの移動様式がどのように使われて皮質形成が成し遂げられるのかが、次の大きな問題であった。そこで、胎生16日目でGFPベクターを遺伝子導入後12時間後から3時間おきにBromodeoxyuridine(BrdU)を投与する実験を行った。この実験で、BrdU陰性細胞に注目すれば、12時間後の時点ですでに最後のS期を終了した細胞集団の動きを見ることができる。その結果、分裂を終了した神経細胞の大部分は多極性細胞として脳室下帯に留まり、その後、その同じ細胞が、ロコモーションになって皮質板に入ることが示された。
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