研究課題/領域番号 |
14780611
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岩井 陽一 独立行政法人理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, 研究員 (40332332)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 臨界期 / 視覚野 / 暗室飼育 / 抑制性伝達 / GABA / ベンゾジアゼピン / GABA受容体 / GABAトランスポーター / GAD65 / ジアゼパム |
研究概要 |
哺乳類の大脳皮質は生後の経験に依存して形成され、臨界期でのみ極めて柔軟になる。我々は抑制性伝達が視覚野の臨界期発現の引き金であることを示してきた。GABA合成酵素のシナプス型を欠損したマウスは眼優位可塑性を示さないが、その視覚野にGABA_A受容体の選択的な作働薬であるベンゾジアゼピン(BZ)をわずか2日間注入すると可塑性を回復できる。この誘導した可塑性は正常臨界期と同様の時間経過を示した。さらに驚くべきことに、暗室飼育によって視覚経験を受けていない正常マウスは臨界期発現が遅れるが、暗室下の短期BZは臨界期を早めることができた。また、臨界期誘導後、低下していた抑制性伝達が回復していくことを支持する結果も得た(研究発表)。 臨界期発現に関与している分子基盤を探索する目的で、暗室下でのBZ注入により臨界期が終わった視覚野をウェスタンブロット解析した。GABA作動性シナプスを構成する様々な分子のうち、GABA_A受容体の主要なサブユニットであるα_1サブユニットおよび主要なGABAトランスポーター(GAT-1)は正常臨界期の終了と同様の変化を示した。自発神経活動さえあれば臨界期を速やかに誘導できることが示唆できているので、BZ存在下の培養系において候補分子の追跡を試みた。視覚野の培養スライスにジーンガンでα_1-GFPの融合分子を導入したところ、1日後のニューロンで明瞭なシグナルが検出できた。しかしながら、培養日数を重ねても、GFPは細胞質に留まっており、局在は進まなかった。αサブユニットが細胞膜表面に現れるためにはβサブユニットが必要であることが報告されているので、現在、βサブユニットとα_1-GFPの共発現実験を進めている。一方、阻害剤の注入実験からGAT-1が臨界期発現に直接関与することを支持する結果を得つつあるので、GAT-1-GFPコンストラクトの作製も計画している。
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