研究課題/領域番号 |
14780614
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
中原 裕之 独立行政法人理化学研究所, 脳数理研究チーム, 研究員 (10312282)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 大脳基底核 / 情報幾何 / 強化学習 / 神経細胞集団活動 / DNAマイクロアレイ / 自己組織化 / 同期現象 |
研究概要 |
本研究では、「大脳基底核-大脳皮質回路で起きる異なる時定数のダイナミクスの解明」という題目のもとで、研究を進めた。第1に、大脳基底核の神経細胞の発火活動が、眼球運動とどのように関連するのかを実験データから、詳細に調べることを行った。これにより、尾状核の神経細胞が眼球運動の速度と、弱いながらも確実な相関関係があることを示した。この結果は、大脳基底核の眼球運動への関与を示している。更に、ドーパミン細胞の活動を記録し、それを強化学習のモデルと比較することで、ドーパミン細胞が報酬予測誤差を表すときに、巧みに課題に関する手がかりを記憶し、それを利用していることを示した。言い換えるならば、近年注目を浴びているドーパミンの反応は、課題のコンテキストを利用することで、報酬予測を向上させていることを示した。これらの結果は一流の学会誌に発表された。 第二に、同時発火がどのような機能を持ちうるかについて、モデルの立場からの研究を進めた。これにより高次相関をもった発火活動が比較的単純なメカニズムから形成されることが分かった。今後は、この計算論的意味を把握していくことが必要である。 第三に、昨年提案した、情報幾何座標系を使う神経細胞同時記録の解析手法が、DNAマイクロアレイのデータ解析の手法としても適用できることを示した。この議論がもとになって、神経系の遺伝子の働きとして特にアルツハイマー病の機序の解明について、実験研究者と議論を行った。その成果を、図書の1章として出版することができた。一方、スパインの可塑性に関しても実験研究者と議論を行った。これにより、問題がかなり明確になると同時に、分子機構によるスパインの形状の制御と可塑性の関係に関する我々の提案を、国際的にも一流の論文誌に発表した。
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