研究課題/領域番号 |
14780621
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
中陦 克己 近畿大学, 医学部, 講師 (60270485)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 小脳 / 室頂核 / 鈎状束 / ネコ / 小脳歩行誘発野 / 歩行運動 / 姿勢 / 運動分節 |
研究概要 |
左右の小脳室頂核から始まる交叉性の遠心性線維は白質正中部で交叉して鈎状束を形成する。これらの線維は左右の脳幹網様体、前庭核、上部頚髄、上丘へ並列的に投射する。除脳ネコにおいてこの鈎状束の交叉部(小脳歩行誘発野cerebellar locomotor region ; CLR)を連続微小電気刺激すると流れベルト上で制御歩行が誘発できる。本研究の目的の第一は除脳ネコにおいて、CLRから下行する歩行指令信号が腰髄レベルの歩行リズム生成機構をどのように駆動するのかを解明すること、第二は除脳ネコで同定されたCLRが正常ネコの歩行および姿勢の制御においてどのような機能的意義を持つかを解明することである。このため除脳ネコのCLRを電気刺激して大腿四頭筋支配運動細胞から細胞内記録を行った。さらに正常ネコの歩行および姿勢に対するCLRの刺激・破壊効果を無拘束の状態で観察し、体幹・四肢筋活動を導出記録した。 結果は3点に要約される。 1.除脳ネコのCLRを電気刺激すると腰髄第7レベルの腹側側索から下行性volleyが両側性に記録された。 2.CLRを2〜3発刺激すると、大腿四頭筋支配運動細胞からEPSPが記録された。それらのsegmental latencyは1.8-2.0 msだった。 3.正常ネコのCLRを連続微小電気刺激すると、ネコは安定した直進的歩行運動を行った。 ネコは頭部を進行方向に向け、頚部を伸展した。左右の上腕三頭筋・大腿四頭筋からは律動的かつ交代性の筋活動が記録された。 以上の結果は左右の室頂核からの交叉性運動指令信号が、除脳ネコにおいては腰髄歩行リズム生成機構の出力路である両側の下肢筋支配運動細胞へ3〜多シナプス性に伝達されること、さらに正常ネコおいては複数の運動分節(頭部・頚部・体幹、左右前後肢など)の動きを時間的・空間的に協調しながら歩行および姿勢を制御することを示唆する。
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