研究課題/領域番号 |
14780665
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 国立循環器病センター研究所 |
研究代表者 |
大屋 章二 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 室員 (80311447)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ゼラチン / 細胞外マトリックス / ハイドロゲル / 感温性 / 細胞接着性 / 原子間力顕微鏡 / 微細構造 / 弾性率 / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 組織工学 / ゲル / 細胞包埋 / ハイブリッド組織体 |
研究概要 |
本研究では、コラーゲンの変性タンパク質であるゼラチンに感温性の合成高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)をグラフトしたPNIPAM化ゼラチンを合成し、組織構築用マトリックス材料および医用材料への応用を検討した。前年度は組成の異なるPNIPAM化ゼラチン(PNIPAM/ゼラチン重量比(P/G):1.4-49)を合成し、PNIPAM組成の高いゲルは細胞の足場として機能できることを示した。本年度は、マトリックス材料として機能するゲルを物理的見地から調べることを目的とし、ゲル表面の微細構造・物性を原子間力顕微鏡(AFM)により調べ、ゲル表面での細胞接着性との相関を調べた。 PNIPAM化ゼラチンゲル表面を水中にてAFMにより観察すると、ゲルの組成や濃度に関わらず観察範囲全体に直径数μm程度のくぼみを多数有した。表面の弾性率はと表面の凹凸には相関がなかったが、弾性率は測定点ごとに分布を有し、PNIPAM組成の増加に従って増加した。このゲルは水和したゼラチンによる柔らかい部分と凝集したPNIPAM部による堅い部分が不均一に分布し、PNIPAM組成の増加により強く凝集したPNIPAM部の割合が大きくなったと考えられる。 一方、このゲルの上で血管内皮細胞を播種・培養すると、PNIPAMの組成が高いゲル(P/G>12)で細胞が接着・伸展が観察できた。このゲルは細胞接着性部のゼラチン部と構造維持部のPNIPAM部により構成されていることから、PNIPAM組成が高くなることでゲルの構造を維持でき、細胞が接着・伸展できるゲル強度を有したと考えられる。 本研究では、PNIPAM化ゼラチンゲルを用いることでゲル表面の微細構造・物性と細胞接着性との相関を調べることができた。本研究で得た知見は今後のマトリックス設計の際の指針となりうると期待できる。
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