研究課題
特別研究員奨励費
本研究課題では、合成方法の開発、機能性分子/試薬の創製、または分子構造/反応機構の解析を目指し、今年度は幾つかの成果を達成したので、以下に報告する。1. C-N 結合切断型 Stille カップリング反応の開発と反応機構の解析。Stille カップリングは、温和な条件下で反応が円滑に進行するため、天然物や機能性分子などの合成に幅広く応用されてきた。求電子剤としては、主にヨウ化物や臭化物を代表とするハロゲン化物が用いられてきた。今回我々は、ハロゲン化物の代わりに、天然に広く存在するアミン・アニリン類誘導体・アンモニウム塩を求電子剤として用いる C-N 結合切断型 Stille カップリング反応を開発した。本反応は、市販のニッケル触媒存在下高収率で進行し、種々の官能基を有する幅広い基質にも適用可能であった。また、DFT 計算、検証実験、および X 線結晶解析などの方法を併用し、可能な反応経路も解明した。本研究成果の一部は Nature Common. 誌に掲載され、SYNFORM 誌や Nature Japan などの学術誌/メディアに紹介された。2. C-O/C-N 結合切断型村橋カップリング反応の開発。C-O/C-N 結合は高い安定性があり、これらの結合の切断を指向した反応の開発は限られている。今回我々は、有機リチウム化合物を用いる C-O/C-N 結合切断型クロスカップリング方法を開発した。本反応は、アリール/アルケニル/アルキルリチウム試薬を用いて、市販のニッケルやパラジウム触媒存在下、トルエン溶液中において、温和な条件下進行し、種々なアリールエーテル(C-O)やアンモニウム塩(C-N)などの基質に適用でき、高収率で目的物を与えた。本研究成果の一部は Chem. Eur. J. 誌に掲載され、HOT paper に選ばられ、表紙に採用された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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