配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2016年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2015年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2014年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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研究実績の概要 |
f元素認識用の有機配位子の合成スキームを整備し,一連のランタノイド(Ln(III))との単結晶を合成し,X線構造解析により元素間距離や結合角といった錯体構造を取得した.併せて各種配位子とLn(III)の酸乖離定数や錯形成定数を求め, 錯体構造と配位強さの相関を取得した.放射光EXAFS法でも一連のLn(III)と各種配位子との溶液中の錯体構造を取得し, 単結晶構造でフィッティングを行い構造を考察した.非対称な構造のN,Oハイブリッドドナー配位子は特定のLn(III)との錯形成定数が極大値を持ち, 配位子の基本骨格の選定が重要であることを明らかにした. 最終年度は配位子搭載型ゲルサンプル(例えば感温性N-イソプロピルアクリルアミド(NIPA)など)にEu(III)やNd(III)を吸着させ, 何点かの温度で保持しながらSPring-8 BL11XUで放射光EXAFS計測を行った.その結果,硝酸Nd(III)水溶液, 硝酸Eu(III)水溶液や配位子を含まないNIPAゲルでは動径構造関数は温度上昇による熱振動増大により水和水のO等に由来する第一ピークが鈍化したが錯体構造の変化は見られなかった.配位子を搭載したNIPAゲル中では温度変化による膨潤収縮状態変化により若干近距離にシフトした.これはゲル中で錯体構造(水和水数や結合距離など)が溶液中と若干異なり, ゲルを用いた錯形成“場”の制御による錯体構造変化の可能性を示している.ゲル中では幾つかの構造の錯体が混在している可能性もあり更に実験条件を変化させてEXAFS法による錯体構造を取得し, 詳細なフィッティングによって溶液とゲル中の錯形成挙動の変化を明らかにする必要がある. 初年度から始めた有機合成に時間がかかり錯形成挙動, 吸着挙動, 錯体構造とゲルの化工物性との相関は十分に検討できなかったため, 今後の検討課題である.
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