研究課題
特別研究員奨励費
二次元層状化合物に対して、電界効果キャリアドーピングの手法を用いて物質界面のキャリア濃度を変調し、電子状態の制御ならびに新規物性を開拓することを目的として研究を行ってきた。最終年度である平成28年度は、まず前年度から行ってきたLaOBiS2における電界効果超伝導発現の研究を完成させ、Applied Physics Lettersにおいて成果を公表した。また、トポロジカル絶縁体のAgxBi2Se3に電気二重層キャパシタを用いて電子を蓄積することで、フェルミレベルを制御した。x が0、0.05ならびに0.2の3種類の試料を用意し電気抵抗の温度依存性を測定した。Agを含まないBi2Se3においては、金属的振る舞いが観測されたのに対し、x = 0.05ならびに0.2の試料は35から300 Kまでは、温度の低下とともに半導体的に抵抗が上昇していく性質が観測され、35 Kより低い温度領域では温度の減少に伴う電気抵抗の減少を観測した。高温領域において半導体的性質を示したAg0.05Bi2Se3に対して電界効果電子ドーピングを行うと、Bi2Se3と同様の金属的な振る舞いが観測され、フェルミレベルを伝導帯に戻すことに成功した。さらに、遷移金属カルコゲナイド化合物のMo(Se1-xTex)2をチャネルに用いた電界効果トランジスタ(FET)を作製し、SeとTeの含有量(x)の変化によってFET特性が変化することを見いだした。厚み5 - 15 nmの単結晶FETではx < 0.4のときにnチャネル型のFET動作を、x ≧ 0.4ではpチャネル型または両極性型のFET動作が観測された。移動度はx = 0.4で極小となった。これらの結果は、MoSe2とMoTe2のバンド構造から予想される結果と一致し、またSeとTeが混じったことによる結晶中の乱れがキャリア輸送を妨げることを示している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件)
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