研究課題
特別研究員奨励費
近年、GaN結晶の低欠陥化・低反り化がより一層重要視されている。本研究では、複数の微小種結晶(ポイントシード)を用意し、Naフラックス法で成長する過程で合体させることで大口径かつ反りの小さいGaN基板作製を目指している。平成26年度における本取り組みでは、結晶をa軸方向に結合させることで結合界面における欠陥が抑制できることを明らかにしたのに加え、ポイントシードパターン及び結晶膜厚の検討を行うことで曲率半径100m以上の2インチGaNウエハの作製に成功した。平成27年度では、1.a軸方向の結合で結合界面における欠陥が抑制されるメカニズムを解明及び2.GaN結晶バルク化にむけた格子定数の均一化に取り組んだ。1. 初年度において明らかにされなかった結晶結合界面における転位抑制メカニズムの解明に取り組んだ。アルカリ融液エッチングにより転位上に形成されるエッチピット形状の評価に加え、TEM観察により転位の伝播方向を調査した。その結果、結晶をa軸方向に結合させた際に、転位はc軸方向に伝播せず、横方向に伝播することが明らかになった。SEMにより結晶結合界面付近を詳細に観察した結果、結合界面において新たに{10-11}面が形成されていることが分かり、転位はその上を伝播していることが明らかになった。2. ポイントシード上結晶は{10-11}面及びc面で構成されるが、制動放射X線回折測定により各セクターの格子定数を調査した結果、{10-11}セクターにおける格子定数がc面に比較し、格子定数が拡張していることが分かった。セクターによって格子定数が異なる要因を分析した結果、{10-11}セクターにおける酸素濃度がc面セクターに比較し大きくなっており、酸素不純物の取り込みが格子定数を悪化させていることを明らかにした。そこで、ポイントシード径及びピッチ両方を縮小する試みを行った結果、低反りかつ大部分(90%以上)がc面セクターで構成された結晶の作製に成功した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Crystal Growth
巻: 427 ページ: 87-93
10.1016/j.jcrysgro.2015.07.001