研究課題
特別研究員奨励費
本研究では哺乳類大脳皮質において領野ごとに層構造が特異化するメカニズム、および霊長類などの大脳皮質においてシワと呼ばれる脳回・脳溝構造が形成されるメカニズムを明らかにするために、研究が盛んに行われてきた神経前駆細胞などの内的要因に加えて入力線維などの外的要因が重要な役割を果たす可能性を検討している。本年度はこれまでに得られた知見を踏まえて以下の研究を行った。1.昨年度までに、視床入力線維を欠損したマウスでは標的領野の4層でニーロン数が減少するが、それが入力線維の末端に発現する分泌タンパク質の強制発現により回復することを見出した。本年度はこれらの遺伝子ノックアウトによる機能喪失実験を行ったところ、欠損マウスの感覚野では、線維欠損マウスと同様に、4層ニューロン数が減少していることがわかった。これより、視床入力線維によって制御される感覚野の第4層の発達は、視床入力線維の末端に発現する分子を介して行われることがより強く示唆された。2.昨年度までに、外的因子が脳回に局在化する分子基盤を明らかにするためにシンプルな2本の脳溝を持つモルモットを用いて脳回と脳溝の発現プロファイルを解析した。本年度は発現差を示した候補遺伝子のうち細胞外タンパク質をコードするものについてin situ hybridizationを行い脳内での発現パターンを調べた。その結果、脳回に特異的な発現を示す遺伝子が複数個同定された。以上より、領野形成における外的因子の役割とその分子実体を明らかにし、また脳回形成における外的因子の局在化とその分子基盤解明につながる知見を得た。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
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