研究課題
特別研究員奨励費
人工ヌクレアーゼを用いたゲノム編集技術は新しい植物育種技術 (New Plant Breeding Techniques, NPBT) の一つであり,従来の突然変異導入を用いた育種では開発できない有用な作物を作出できることが期待されている.本研究は人工ヌクレアーゼを用いたゲノム編集技術を実用化に結びつけることを目的とし,人工ヌクレアーゼの植物細胞への導入方法と作成した人工ヌクレアーゼの簡便な活性評価について検討を行った。本年度は,昨年度に引き続き,作製した人工ヌクレアーゼ発現ベクターを植物細胞内で活性評価を行う系の構築を行った.昨年度までに CRISPR-Cas9 発現ベクターについては毛状根内での活性評価法を確立していたため,本年度は TALEN 発現ベクターの毛状根内での活性評価が可能かどうかの確認を行った.バイナリーベクターの ori を変更し,TALEN コード配列中にイントロン配列を挿入することで,発現ベクターの A. rhizogenes への導入に成功した.得られた A. rhizogenes を植物体に感染させることで毛状根を誘導し,植物内在の遺伝子への変異導入を確認することができた.また,CRISPR-Cas9 によって内在の特化代謝酵素遺伝子を破壊したトマト毛状根の代謝産物を分析したところ,特化代謝産物の蓄積パターンが大きく変化していることが確認され,当該酵素遺伝子が植物体内において実際に特化代謝産物の生産に関与することが強く示唆された.このように,毛状根培養とゲノム編集技術を組み合わせることで,作製した人工ヌクレアーゼの活性評価だけでなく,根で発現する酵素遺伝子の機能解析を簡便に行うことができることが示された.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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