研究課題
特別研究員奨励費
26Alは半減期約70万年で26Mgへと放射壊変する短寿命放射性核種である。初期太陽系において26Alが存在していた証拠が隕石中のCAIやコンドリュールなどから発見されたが,その起源はよくわかっていない。同じようなPb-Pb形成年代をもつCAIとコンドリュールが,それぞれ異なる初生26Al量をもつことを,前年度までの研究で明らかとなった。これにより,初期太陽系円盤内における26Al量の不均一分布が示された。本年度,形成時の26Al量が我々により測定済みであるコンドリュールの,TIMSを用いたPb-Pb年代測定が共同研究者らにより引続き行われた。得られたPb-Pb年代を用いて,コンドリュール前駆物質の26Al量を見積もると,初生26Al/27Al同位体比が比較的高い集団と低い集団とに大別された。コンドリュール形成領域内においても,26Al量が不均一であることがわかり,26Alの起源研究に一石を投じる結果となった。本年度は並行して,SIMSによるCAIのAl-Mg年代測定を行った。初期太陽系星雲の最内縁部とされるCAI形成領域では,26Al量が均一であったことがこれまでに示されている。年代測定の結果,アエンデ隕石のType C CAIは,太陽系誕生から200万年後以上後に加熱により再溶融し,ヴィガラノ隕石産fluffy Type A CAIは,約20万年かけて凝縮・集積を経て形成,アエンデ隕石産Type B1 CAIは,太陽系誕生から約5万年後に加熱により再溶融していたことがそれぞれわかった。後者二つのCAIの酸素同位体組成を同じくSIMSにより分析した結果,太陽系誕生から,少なくとも,5から20万年の間,CAIダスト周囲のガスの酸素同位体組成が,太陽に近い組成と地球に近い組成との間で,何度も入れ替わり変化していたことが明らかとなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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American Mineralogist
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