研究課題
特別研究員奨励費
自閉スペクトラム症(ASD)特性はASD患者と定型発達(TD)者の間に連続的に存在する。一方、安静時の脳活動として重要な役割を持っているDefault mode network (DMN)を解析する方法として resting-state functional MRI(rs-fMRI)が最近注目されている。Jung M et al. (2014) はrs-fMRIを用いてASD男性とTD男性とではDMNが異なり、ASD特性とDMNが関連していることを報告した。また、ASD特性は一般的に女性よりも男性の方が強い傾向がある。その一つの原因として、ASD特性が男性的な脳の特徴と関連している、extreme male brain theoryが推測されている(Baron-Cohen S, 2002)。しかし、ASD特性に関してDMNにおける性別の影響を検討した報告はない。そこで本研究では、TD者において性別によりDMNが異なるかどうか、また、性別によるDMNの違いがASD特性と関連するかどうかをrs-fMRIを用いて検証することを目的とした。知的障害を有さない定型発達者88名(男性43名、女性45名)の安静状態の脳活動を測定し、先行研究と同様、性差によるDMNの違いが特定された。特に機能的連結が弱いことに加え、性差によるDMNの違いが自閉症スペクトラム傾向と関連していることを示唆した 。以上の点から、ASDの神経科学的メカニズムを解明するためには、男性だけでなく、女性ASDにおけるrs-fMRI測定の関連性について明らかにする必要性があるという着想に至った。27年度に予定していた実験をすべて実施し,6編の論文発表と3件の学会発表をおこなった。また、今年度に行ったfMRI解析も順調に進展し、論文化された。本研究によって脳機能を探索するためには必須の課題遂行を実施できなかった集中維持が困難な方や、幼少児の被検者でも、MR 機器の中で安静臥床しているだけのこの簡便な手法により、脳機能活動を検討することができ、自閉症スペクトラム傾向を探求する可能性をしめした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
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