研究課題
特別研究員奨励費
本研究ではテストステロンに着目し、肥満男性における生活習慣改善が動脈機能を改善する機序について検討することを目的とした。また骨格筋由来のイリシンが有酸素性運動トレーニングによる動脈機能改善に及ぼす影響について検討することを目的とした。成人男性を対象とした横断研究により、血中テストステロン濃度はBMIやウエスト周囲径と負の相関関係を示すこと、動脈硬化度や血管内皮機能と正の相関関係を示すことを明らかにした。肥満男性における生活習慣改善(有酸素性運動+食事改善)では、12週間の介入により血中テストステロン濃度は有意に増加し、血中イリシン濃度や動脈硬化度、中心血圧は有意に低下した。血中テストステロン濃度の変化と動脈硬化度および中心血圧の変化には有意な関連が認められたが、血中イリシン濃度については有意な関連は認められなかった。また、有酸素性運動単独による12週間の介入においても、血中テストステロン濃度の増加、血中イリシン濃度、動脈硬化度、中心血圧の低下が認められた。しかし、血中イリシン濃度とこれらの変化に関連は認められなかった。さらに、食事改善単独による介入では、動脈硬化度および中心血圧は有意に低下したが、血中テストステロン濃度には有意な変化が認められなかった。肥満モデル動物を用いた8週間の有酸素性運動トレーニングでは、運動群においてコントロール群と比べて血中および精巣中テストステロン濃度、精巣および骨格筋におけるアンドロゲン合成酵素の発現量が有意に高値を示した。これらの検討結果から、肥満男性における生活習慣改善および有酸素性運動による血管機能の改善には血中テストステロン濃度が関連するが血中イリシン濃度は関連しない可能性が示唆された。また、モデル動物を用いた検討によりテストステロン濃度の増加には精巣や骨格筋におけるアンドロゲン合成酵素の発現量の増加が関連する可能性を示唆した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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