本年度は中国・朝鮮半島での熟覧調査を集中して行った。まず平成27年8月18日~21日/9月30日~10月2日にかけて韓国のソウル・慶州へ渡航した。現地では資料収集を行うと共に、韓国国立中央博物館ならびに韓国国立慶州博物館で行われた特別展を観覧した。本展覧会は、東アジアにおける文化交流において展開した仏像をテーマとした展示であり、自身の研究を進めるうえで多いに役立った。また平成27年9月6日~9月12日にかけて訪中し、現地では慈善寺石窟、昭陵、碑林博物館、陝西省歴史博物館、大唐西市博物館、龍門石窟、関林、鞏県石窟、洛陽博物館、千唐志斎において資料収集ならびに写真撮影や熟覧調査を行った。とりわけ中国・唐代における邪鬼の作例が集中する龍門石窟にて撮影が叶ったことは重要であった。渡航で収集した情報については、現在データベース化を進めている。
研究発表の成果としては、平成26年9月に調査した西大寺四王堂四天王像の邪鬼について論文を執筆・投稿し、学術雑誌『佛教藝術』への掲載が決定した。本調査については科学調査の観点からも、改めてまとめる予定がある。また、平成24年度に提出した修士論文の内容を踏まえ、願成就院所蔵の毘沙門天像に付随する邪鬼をテーマに鎌倉時代の邪鬼について論じる準備を進めている。本研究については平成27年6月6日、12月23日には願成就院において熟覧調査を行い、現在執筆段階にある。平成28年6月に学術雑誌に投稿予定である。
そのほか千葉・神奈川・香川などに調査員として同行し調査経験を積むことで、自身の調査研究に反映させた。
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