配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2016年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2015年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2014年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究実績の概要 |
本研究では, PGE2 (Prostaglandin E2)-EP4シグナルによる腹部大動脈瘤の発症・進行メカニズムを明らかにすることを目的としている. 前年度までの研究おいて, 平滑筋細胞選択的EP4過大発現マウスにおいて, AngII依存性の腹部大動脈瘤発症が顕著に増加すること, EP4刺激はin vitro, in vivoの両方において炎症性サイトカインであるIL-6の発現を顕著に増加させることを明らかにしてきた.
IL-6が腹部大動脈瘤組織で過剰に合成されることは多く報告されてきたが, 具体的な働きに関する報告はほとんどない. IL-6受容体・抗体を投与されたEP4-Tgマウスでは, AngII負荷時の大動脈組織中炎症性単球/マクロファージの数が有意に減少していた. フローサイトメトリーによる細胞分画の分取実験から, 大動脈組織においてIL-6の遺伝子発現は平滑筋細胞等の非免疫系細胞に認められ, IL-6Rの遺伝子発現は炎症性単球/マクロファージに認められた. さらに, EP4-Tgマウスの大動脈平滑筋細胞を用いて構築した3次元細胞積層体モデルにおいて, IL-6R・抗体は顕著にマウスマクロファージであるRAW264.7の平滑筋層への浸潤を抑制した. IL-6による刺激はヒト単球由来細胞であるTHP-1においてPGE2合成酵素であるCOX-2の発現および, MMP-9の遺伝子発現を亢進した. これらの結果から平滑筋由来のIL-6は, 単球/マクロファージにおけるPGE2合成を亢進しPGE2-EP4シグナルによる炎症反応を過剰に亢進する可能性のあること, MMP-9発現の亢進し単球の平滑筋層への浸潤や弾性線維の分解を過剰に亢進することで腹部大動脈瘤の進行を促す可能性が示唆された.
現在これらの結果をまとめて論文投稿中である.
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