研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、ポルフィリンや環拡張ポルフィリンの新規誘導体を合成することで、従来にない新しい機能を持った分子を創出することを目的としている。本年度は前年度に提案した、「交差共役系ポルフィリンおよびヘキサフィリンのジラジカル性の制御(研究①)」に加え、双性イオン型ヘキサフィリン(研究②)及びオクタフィリンの酸・塩基に基づく構造及び芳香族性の変化(研究③)に関する研究を行った。以下に具体的な成果を示す。研究①:交差共役系オリゴチオフェンをポルフィリンまたはヘキサフィリンの外周部へ導入することで、ジラジカル性を示す分子の合成に成功した。特にヘキサフィリンは近赤外領域における強い光吸収、多電子貯蔵能、狭いHOMOーLUMOギャップ、比較的大きな二光子吸収断面積など特徴的な物性を示し、有機エレクトロニクスの分野での活躍が期待される。研究②:分子内に双性イオン構造を有するヘキサフィリンの合成に成功した。この分子はヒュッケル反芳香族性を示し、酸を添加することで、メビウス芳香族性を示すヘキサフィリンへ構造変化することも見出した。研究③:[34]オクタフィリン(1.1.1.0.1.1.1.0)へ酸・塩基を添加することによって、その分子構造及び芳香族性への影響を検証した。酸を添加した場合は、八の字構造・非芳香族のフリーベース体が平面長方形構造・ヒュッケル芳香族性のジカチオン体へと変化した。一方、塩基を添加した場合は、モノアニオン化体へと変化したものの、物性面に大きな変化は見られなかった。この結果は2箇所でメゾ位炭素が欠落しているこのオクタフィリンの構造的な剛直さに起因すると考えられる。総括:これまで様々なポルフィリン及び環拡張ポルフィリンの新規誘導体の合成に成功し、特徴的な物性を明らかにしてきた。したがって、この3年間の研究成果はポルフィリンの化学に重要な影響を与えたと言える。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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