配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2016年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2015年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2014年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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研究実績の概要 |
ファノ多様体という「膨らんだ代数多様体」について, 極小モデル理論をはじめとする双有理幾何的な観点で研究を進めてきた. 中でも今年度は, ファノ多様体のK安定性について多くの結果と得ることができた. ファノ多様体上にケーラー・アインシュタイン計量が入ることとK安定であることは同値であることが知られている. しかしながら一般にK安定性を判定するのは極めて難しい. 今年度私は, K安定性の分かりやすい判定法を(必要・十分の両面から)得ることに努めた. 具体的には, まずK安定性と因子との関わりを調べ, 「因子的安定性」なる概念を提唱した. この安定性はK安定性より弱いながら, 極小モデル理論と相性がよく, 判定が容易であるという点で優れている. またそのアイデアを点で爆発した上空因子に適用することで, K安定なファノ多様体の体積の最良上界を得ることに成功した. 更にそこでの「テスト配位の列をうまくとって極限をとる」議論を発展させて, 体積函数でもって記述できる「付値安定性」なる概念を導入し, それがK安定性と同値であることを(C. Liと独立に)証明した. この「付値安定性」は, テスト配位が定義に現れず, 上空因子の情報のみで定義され, 更に極小モデル理論的に自然な用語のみを用いて定義される. また, K不安定なピカール数1のファノ多様体の発見や, 対数的K安定性と体積函数との関わりも論じた.
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