研究実績の概要 |
銀河間磁場強度の測定は我々の銀河内の磁場の起源を知る上で重要である。銀河間磁場強度にガンマ線観測から制限を与えるため、RX J1136.5+6737 (z=0.134), PKS 1424+240 (z>0.6), 1ES 0229+200 (z=0.140)といったz>1の活動銀河核のガンマ線観測スペクトルを、異なる銀河間磁場強度ごとのシミュレーションで得られるスペクトルと比較した。上記の天体のうち1ES 0229+200はとくにハードなスペクトルをもつExtreme HBL天体であり、>1E-15 Gの銀河間磁場を示唆するという結果を与えた。1ES 0229+200のMAGIC望遠鏡による観測データを解析し、MAGIC, H.E.S.S. (>100 GeV), Fermi-LAT (<100 GeV)を合わせた観測スペクトルをシミュレーションで得られるスペクトルと比較すると、10 TeV付近まで伸びるハードなスペクトルの高エネルギー部分を再現するためには、シミュレーションでべき-1.5程度のハードなスペクトルを注入する必要があった。一方、100 GeV以下のスペクトルを再現するには銀河間磁場強度を>1E-15 Gにして二次ガンマ線成分を散乱させる必要があった。 将来の感度の高い観測装置であるCTA大口径望遠鏡の建設に向けては、光電子増倍管信号読み出し回路の開発を行った。特に読み出し回路のFPGA firmware開発を行い、プロトタイプとして完成させた。読み出し回路19モジュールによる小規模カメラを組み上げ、動作試験を行い、基本的な読み出し動作が正常に行われることを実証している。CTA大口径望遠鏡1号機の建設、読み出し回路インストールへ向けて大きな進展、貢献ができた。
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