研究課題
特別研究員奨励費
解糖系代謝酵素として知られる Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase (GAPDH) は、アポトーシス誘導やNO生成など様々な機能に関与することが報告されているが、細胞外での機能については十分に解明されていない。本研究では、これまでにヒト末梢血単核球 (PBMCs) を用いた生体外 IgE 産生モデル培養系において GAPDH が IgE 産生を抑制することを見出した背景から、生体での機能と生体外 IgE 産生モデル培養系での作用を併せて検討することにより、Ⅰ型アレルギー反応における GAPDH の作用機序の解明を目的とした。GAPDH の生体における作用を検討するため、卵白アルブミン (OVA) 免疫マウスの血中抗体濃度への影響を調べた結果、GAPDH の経口投与は OVA 特異的 IgE 濃度を低下させること、血中総 IgA 及び IgG 濃度を上昇させることを見出した。また、GAPDH はマウス脾臓リンパ球のIL-4、IFN-γ、TGF-β1などのサイトカイン産生を増強させたことから、これらサイトカイン産生に影響を及ぼすことにより、最終的に血中抗体濃度を調節している可能性が示された。GAPDH の IgE 産生抑制領域を特定するため、PBMCs を用いてタンパク質分解酵素により断片化したGAPDH の作用を検討した結果、このGAPDHペプチドもGAPDHタンパク質と同様にIgE 産生を抑制した。そこで、さらにGAPDHペプチド中からIgE 産生抑制配列を精製した結果、N 末端ドメインに位置するペプチドがその活性配列であることを突き止め、その作用には特定のアミノ酸配列が関与している可能性を見出した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecules
巻: 19 号: 6 ページ: 8238-8260
10.3390/molecules19068238