研究課題
特別研究員奨励費
1.昨年度同様、今年度も洞爺湖中島(498ha)でRowcliffe法の検証を行った。今年度の結果はほぼ全ての月で過小推定であり、推定個体数の精度も全ての月で低下した。これらの結果はRowcliffe法の推定値がシカの出産行動や繁殖行動、活動性の低下以外の影響を受けていることが示唆される。一方で、個体数が減少したことにより、シカの行動圏は拡大すると考えられ、全ての行動を把握できなかった可能性もある。そのため、本研究は従来のカメラ設置とは異なり、標高も考慮し、平成28年1月~2月にかけて島全域に自動撮影カメラを設置した。その結果、推定値は確度の高い生息数とほぼ一致しており、信頼性の高い推定値を算出することができた。今後は低密度の行動圏に対応することのできる設置方法でRowcliffe法を検証する必要がある。2.本研究は足寄町・西興部村・支笏湖・幌延町で実施した。自動撮影カメラは2015年8月~11月に各地域5台ずつ設置した。本研究は調査期間を猟期前と猟期に区分し、Rowcliffe法の前提条件である撮影頻度(撮影頭数/1日/1台)を算出した。その結果、猟期前では足寄町と西興部村の撮影頻度は違いがなく、著しく高い値を示した。また、支笏湖はこれら2つの地域よりも撮影頻度は低く、幌延町はさらに低かった。一方で、猟期では、足寄町の撮影頻度は著しく減少し、4つの地域で一番低かった。また、他の3地域は撮影頻度に大きな違いは見られなかった。足寄町は著しく狩猟圧が高く、狩猟の影響により、シカが周辺地域に逃げていることが考えられる。以上の結果、狩猟の影響が少ない猟期前では、撮影頻度は密度の違いを考慮している一方で、狩猟は撮影頻度に大きな影響を与えていることが示唆された。そのため、Rowcliffe法を利用する場合、狩猟の影響も考慮しなければならないことが示唆され、昨年度の結果も考慮すると狩猟の行われていない7月や9月が最適な時期であると考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (5件)
哺乳類科学
巻: 56
130005160910
130005160914
Mammal Study
巻: 40 号: 4 ページ: 199-205
10.3106/041.040.0401
Journal of Zoology (London)
巻: 297 号: 2 ページ: 139-145
10.1111/jzo.12258
巻: 55 ページ: 73-73
http://ciervo-creencia.wix.com/ikeda-takashi
http://noah.ees.hokudai.ac.jp/envmi/koizumilab/
http://web.tuat.ac.jp/~wildlife/
https://sites.google.com/site/ikewildlife/publications
http://www.tuat.ac.jp/~wildlife/society/soc14.html