研究課題
特別研究員奨励費
イノシトールリン脂質EhPIは、赤痢アメーバEntamoeba histolyticaの細胞膜上に存在するGPIアンカー型の糖脂質であり、糖脂質受容体CD1dへの結合、NKT細胞の刺激を介してTh1型の免疫応答をマウス細胞系で選択的に活性化しIFN-γを誘導する。しかしながら、糖鎖構造および脂質構造と生物活性の相関は明らかになっていない。前年度までに、グリセロールsn-2位がS体の四糖構造を有する糖イノシトールリン脂質の合成を達成していた。当該年度は、構造活性相関を調べるため、R体の糖イノシトールリン脂質を合成するとともに、合成したイノシトールリン脂質を用いてCD1dタンパクとの結合活性試験および免疫刺激活性試験を行った。前年度までに確立した糖イノシトールリン脂質の合成法、すなわち、アリル基、アリルオキシカルボニル基を水酸基の永続的保護基とする合成戦略およびBINOLを不斉補助基として有するセレン含有リン酸化試薬を用いた位置選択的リン酸化反応を鍵反応とする合成法に従い、R体のグリセロールを有する糖イノシトールリン脂質の合成を達成した。次に、これまでに合成した糖イノシトールリン脂質とCD1dタンパクとの直接的な相互作用を評価するため、CD1dタンパクとの結合活性試験を行った。既知のCD1dとそのリガンド間の結合活性試験である競合ELISA法を適用し検討を行った。その結果、C30:1、cisの脂肪酸を有するEhPIaおよびEhPIbが結合活性を示し、 CD1d分子との直接的な相互作用を示唆する結果が得られた。さらに、免疫刺激活性試験を行った結果、R体のグリセロールを有する糖イノシトールリン脂質はS体の糖イノシトールリン脂質と同様に四糖体において活性は減弱し、糖鎖構造と活性の相関が見られた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件)
Org. Biomol. Chem.
巻: 14 号: 28 ページ: 6672-6675
10.1039/c6ob01062h