研究実績の概要 |
今年度までの予備実験の結果から,エンドサイトーシスがショ糖処理時に活性化し,DRP2の相互作用分子が変化すること,そしてDRP2がエンドサイトーシスにおいて重要な役割を果たすことを明らかにした.DRP2以外の植物におけるエンドサイトーシス機構に関与する分子を明らかにし,その中からエンドサイトーシス活性化のための鍵因子を同定するため,今年度は以下の解析を行った. 予備実験の結果から,ショ糖処理によりDRP2を抗原とした共免疫沈降物が変化することが明らかになっていた.この共免疫沈降物から質量分析により含有タンパク質を同定するにあたり,多種のタンパク質の検出と擬陽性の低減の両立を目指し,抽出条件の検討を行った..その結果,当初ルビスコなどの夾雑物と考えられる分子が多く検出されていたが,そのような傾向を低減することが出来た. 上記の条件検討から得られた最適条件でDRP2及び単体のGFPを抗原として共免疫沈降と質量分析を三回試行し, 検出された165種のタンパク質についてそのドメイン構造と既知のエンドサイトーシス関連分子との共発現データから選抜を行い,35種のタンパク質を活性化分子候補とした. 以上の解析により得た35種の活性化分子候補について,具体的な機能解析を行う前にエンドサイトーシスへの関与を確認するため細胞内局在解析と既知のエンドサイトーシス関連分子との結合性を確認した.その結果,いくつかの分子がエンドサイトーシスに関与することが確かめられた. 本年度の研究結果から,今後本手法を進めていくための基礎的な実験基盤が確立した.また,本計画の目的であるエンドサイトーシス活性化機構を解明する端緒を開く分子候補が得られた.
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