研究実績の概要 |
申請者は,誰もが体験する一般的なネガティブ感情とされている悲しみ感情の中にも,悲しみ喚起時の生理反応パターンの一貫しない結果(Cacioppo, Bernston, Larsen, Poehlmann, & Ito, 2000)や2種類の機能の存在から,質的に異なる種類の異なる悲しみが存在すると考えている。本研究では,悲しみの種類の違いを主観・生理といった多数の側面における反応パターンから多角的に捉えることによって明らかにすることを目的としている。異なる種類の悲しみの存在が明らかになれば,悲しみを1つの典型的な感情として捉えてきた従来の研究結果に対して,重要な知見を提供することになると考えられる。 平成28年度の研究業績の概要としては,死別と目標達成の失敗という2種類の異なる場面による悲しみ場面においてそれぞれ生じる行動についての調査を行った。大学生30名に対して,悲しみを感じた時,感じるときにどのような行動をとるかを複数回答可で尋ねた。その結果,「寝る」という行動が15人と1番多く,「友人や家族にはなす」といった行動が12人,「好きなことや趣味をする」は,10人,「泣く」は9人,「食べる」・「音楽を聴く」が5人であった。悲しみを感じた時の行動は,寝るといった気晴らし行動によって,エネルギーの保存が目指されていると推察される。また,悲しみや怒りといったネガティブ感情は他者との共有がなされることが報告されている (Brans, Mechelen, & Rime, 2014)ことからこのような結果が示されたと思われる。その一方で,悲しみに伴う行動というよりは,悲しみをいかにして低減させるかという対処行動とのオーバーラップが認められた。好きなことや趣味をするといったことは,情動型対処に当たると思われる。
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