研究課題
特別研究員奨励費
近年の水産業は、過度の漁獲による天然の資源量の減少や枯渇が問題になっている。そのため、種苗放流による資源量の回復や天然資源に頼らない完全養殖技術の確立が求められている。しかし、飼育下で人為的に成熟を促すこと(人為催熟)が難しい、あるいは人為催熟に成功したとしても孵化率・初期生残率(卵質)が悪いことなどが、種苗生産現場での問題点であり、改善が望まれている。卵質を左右する要因の一つとして、胚発生や稚仔魚の栄養源となる卵黄が挙げられる。卵黄蛋白質は主にビテロジェニン(Vtg)と呼ばれる前駆物質に由来する。Vtgは肝臓で合成され、受容体を介したエンドサイトーシスによって卵母細胞内に取り込まれる。Vtgは複数のサブタイプが存在することが知られており、それらサブタイプの取り込みは複数のリポ蛋白質受容体によって調節されていると考えられる。本研究ではサケ科魚類のカットスロートトラウトを用いて卵黄形成に関与するリポ蛋白質受容体や受容体と共同で働く関連因子を同定することを目的としている。平成27年度は以下の成果を得た。今年度は昨年度に同定した新規リポ蛋白質受容体のLrp13について、哺乳類細胞を用いた機能解析を行った。その結果、Lrp13単独での発現では機能性は確認できなかった。このことから、哺乳類細胞で発現したLrp13には取り込みに関与する受容体の関連蛋白が発現していないことが考えられた。また、卵黄形成への関与が示唆されたリポ蛋白質受容体関連蛋白であるArhIIについて大腸菌発現系を用いた組換え蛋白質の作製を行った。特異抗体の作製によってLrp13とArhIIの検出が可能になったことから、Lrp13とArhIIを哺乳類細胞で共発現させた際の機能解析の評価が可能となった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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